NFTコレクション発行・転売・NFT講座(Web3/NFTバブル便乗ビジネス)
knowledge/periphery/p-web3-nft-boom-bust.md
frontmatter
このファイルの構造化フィールド
- model name
- NFTコレクション発行・転売・NFT講座(Web3/NFTバブル便乗ビジネス)
- main wave
- Web3/NFT・メタバースブーム
- wave period
- 2021年前半〜2022年前半(高騰・ピーク)、2022年後半に急速収縮、2025年時点も未回復
- periphery type
- arbitrage
- players
- Sina Estavi氏(実名、Forbes/CoinDesk等が実名報道) — Jack Dorsey氏の『最初のツイート』NFTを2021年3月に290万ドルで購入。2022年4月に4800万ドルで再出品したが最高入札額は277〜280ドルにとどまり、実質99%超の下落(未成約に終わった) Justin Bieber氏(実名、複数メディア報道) — 2022年1月にBored Ape Yacht ClubのNFTを500ETH(当時約130万ドル)で購入。以後フロア価格の暴落で評価額は約95〜99%下落 イケハヤ(池田勇人=池田氏の通称、本人noteで実名級に発信する著名インフルエンサー) — 2022年5月にNFTコレクション『CryptoNinja Partners(CNP)』を監修・共同展開。本人申告でロイヤルティ収益が年間約2500万円、スポンサー収入を含めNFT関連だけで3000万円超と自身のnoteで公表。『96%のNFTが消滅した中で生き残れた側』と自ら位置づけている しょーてぃ氏(ハンドルネーム、情報商材プラットフォームBrain掲載記事内での本人申告) — NFT転売で1年で500万円の利益を出したと主張し、その手法を情報商材(NFT講座)として販売。金額の裏取りは不可能で、『稼いだ』を看板に講座を売る周辺ビジネスそのものの典型例として記載 層としての証拠(dappGambl社調査、2023年、NFTコレクション73,000件超を分析) — 約95%が時価総額ゼロまで下落し、約2,300万人が無価値になったNFTを保有し続けている 層としての証拠(NFTevening社調査、NFTScanのデータをもとにコレクション5,000件超を分析) — NFTプロジェクトの96%が『消滅』(取引ゼロ・直近7日間の販売20件未満・3か月間SNS更新なしのいずれかに該当)、平均寿命は1.14年
- income evidence
- claimed
- startup cost
- 〜10万円
- window status
- closed
- closed reason
- 2022年後半、FRBの急速な利上げとTerra(LUNA/UST)の崩壊による暗号資産市場全体の冷え込みに、NFT自体の供給過剰(誰でも無審査で発行できる)と投機需要の蒸発が重なり、取引量がピーク比8〜9割減まで落ち込んだ。2025年時点でも主要マーケットプレイス(X2Y2、日本発のtofuNFT等)の閉鎖が続いており、市場は回復せず窓は閉じたままである。
- confidence
- confirmed
- verified
- adversarial-20260718
- sources
- https://president.jp/articles/-/76917 https://www.forbes.com/sites/ronshevlin/2022/04/14/jack-dorseys-first-tweet-29-million-nft-gets-277-bid-at-auction/ https://www.coindesk.com/business/2022/04/13/jack-dorseys-first-tweet-nft-went-on-sale-for-48m-it-ended-with-a-top-bid-of-just-280 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB23C6H0T20C25A4000000/ https://toyokeizai.net/articles/-/886945 https://www.kokusen.go.jp/wko/pdf/wko-202310_01.pdf https://gritdaily.com/people-holding-dead-nfts-almost-none-claimed-the-loss/ https://coinpost.jp/?p=557177 https://note.com/ihayato/n/n7163dccd7136 https://note.com/ihayato/n/n56baa72a84ef https://media.brain-market.com/shotea-nft/
本文
## 概要(本体の波と周辺機会の構造)
本体の波は2021〜2022年のWeb3/NFT・メタバースブームである。国民生活センター『国民生活』2023年10月号(弁護士・長瀬威志氏執筆)によれば、NFTの市場規模は2019年に約1億4000万ドルだったものが2020年に約3億8000万ドルへと倍増以上に拡大し、2021年第2四半期だけで約25億ドルに達するなど急速に膨張した。象徴的な出来事として、2021年3月にクリスティーズのオークションでBeeple氏のデジタルアート作品『Everydays: The First 5000 Days』が約75億円で落札されたことが挙げられる。同資料は「2021年から2022年にかけて投機的な思惑で高騰を続けたNFT市場ですが、2022年後半から大きく失速し」と明記しており、公的機関の資料としてバブルの形成と崩壊の両方を確認できる。
この本体の波の周辺で開いた機会は主に3層構造だった。(1) 自らジェネラティブNFTコレクションを発行し二次流通ロイヤルティで稼ぐ「発行者」、(2) 安く仕入れて値上がりを待って売る「転売(フリップ)」、(3) 「NFTで稼ぐ方法」を教える講座・情報商材・オンラインサロンを売る「NFT講座」。いずれも本体(ブロックチェーン基盤技術やNFTマーケットプレイス運営)を作らずに、熱狂そのものをマネタイズする構造である点が共通しており、参入コストはガス代(NFT発行・購入時の手数料)と数千円〜数十万円程度のNFT購入代金、または講座受講料だけで済んだ。技術的専門知識がなくてもMetaMask等のウォレットとOpenSea等のマーケットプレイスの操作を覚えれば参入できたことが、爆発的な参入者増につながった。
## 実例(誰が・どう稼いだか、証拠の質を明記)
- **イケハヤ氏とCNP(発行者側の成功例)**: 2022年5月にリリースされたジェネラティブNFTコレクション『CryptoNinja Partners』は、本人のnote記事(2022年振り返り)によれば年間535ETH(当時レートで約2.5億円相当)の売買が発生し、二次流通ロイヤルティ10%換算で本人に約2500万円、スポンサー企業からの直接購入等を含めるとNFT関連だけで3000万円超の収益が発生したと本人が公表している。これは第三者検証のない本人申告(claimed)だが、CNPの取引実績自体はOpenSea等の公開マーケットプレイスに記録が残るため、少なくとも「相応の規模の実売買が存在した」ことは裏付けられる。ただし本人自身が別のnote記事で「96%のNFTは死んだ。今回は『残る側』になれた話。」と述べているとおり、これは大多数が失敗した中での例外的な生存例として書かれている点に注意が必要である。
- **しょーてぃ氏(講座販売側の典型例)**: 情報商材プラットフォームBrainに掲載された記事では、「1年で500万円の利益を出した」という触れ込みでNFT転売のノウハウが商材として販売されている。この種の「稼いだ実績」を看板にした情報商材販売こそが「NFT講座」という周辺ビジネスの実体であり、収益額自体の真偽は検証不可能(income_evidence: claimed、本人申告)である。むしろこの構造自体が、バブル期に量産された「NFTで稼ぐ方法を教えます」という情報商材ビジネスが実在したことの証拠として重要である。
- **Sina Estavi氏とJustin Bieber氏(波に乗り遅れて損した側)**: Estavi氏はJack Dorsey氏の「最初のツイート」を表章するNFTを2021年3月に290万ドルで購入したが、2022年4月に4800万ドルで再出品したところ最高入札額はわずか277〜280ドルで、実質的に売却不能な状態に陥った(Forbes、CoinDesk等の独立した複数の報道で確認)。Bieber氏は2022年1月にBored Ape Yacht ClubのNFTを500ETH(当時約130万ドル)で購入したが、その後の暴落で評価額は95%前後下落した(複数メディアで確認、下落率は報道時点により92〜99%とばらつきがあるが、いずれも「大部分を失った」という点で一致)。両者とも著名人・実名の実例であり、「バブルのピーク付近で本体の熱狂に乗った側」が損失を被った失敗ケースとして極めて確度が高い。
- **層としての大量失敗の証拠**: dappGambl社が2023年に73,000件超のNFTコレクションを分析した調査(gritdaily.comが報道)によれば、約95%のコレクションが時価総額ゼロまで下落し、約2,300万人が無価値になったNFTを保有し続けている。NFTevening社の別の調査(NFTScanのデータをもとに5,000件超のコレクションを分析、コインポストが報道)では、NFTプロジェクトの96%が「消滅」と判定され、平均寿命はわずか1.14年(約1年1か月)だった。この2つの独立した調査は対象・手法が異なるが「9割超が実質的に無価値化した」という結論で一致しており、「一部の発行者・転売ヤー・講座販売者が稼いだ裏で、参加者の大多数は損をした」という懐疑側の実態を裏付ける。
実査: 「NFTオンラインサロン 月謝 イケハヤ CNP 参加者 損失」で検索 → CNPのコミュニティ『NinjaDAO』は参加者10万人超の規模だが、月謝制サロンの収益構造や参加者個々の損益についての独立した数値は確認できなかった。一方で日本国内のNFT市場全体については「売ろうとしても誰も買ってくれず、損切りすら難しい状態」との記述が複数のNFT系メディアで確認でき、CNPは「その中でも動いている例外」として扱われている。
実査: 「NFTスクール 高額 受講料 消費者庁 苦情 2022」「NFT 情報商材 国民生活センター 相談件数」で検索 → NFT講座に特化した消費者庁・国民生活センターの相談件数統計は確認できなかった(情報商材全般の相談件数統計は存在するが、NFT分野に絞った内訳は非公開または未集計と見られる)。国民生活センターの公式資料自体は「NFT及び当該NFTに紐づけられるコンテンツの法的性質については個別に分析・検討する必要がある」「消費者の誤解を招かないよう適切な説明を行うことが重要」と注意喚起しており、NFT関連の消費者トラブルへの懸念自体は公的機関レベルで存在したことが確認できる。
## 窓の開閉(いつ開き、いつ・なぜ閉じたか)
**開いた時期**: 2021年3月のBeeple作品75億円落札を象徴的な起点として、NFT市場は2021年を通じて急拡大した。2021年3月にはSina Estavi氏がDorsey氏のツイートNFTを290万ドルで購入するなど、著名人・富裕層の参入が相次ぎ、市場規模は2021年第2四半期だけで約25億ドルに達した。日本国内でも2022年5月にCNPがリリース2時間で完売するなど、国内外で「誰でも発行・転売・講座販売で稼げる」という空気が最も強かったのは2021年後半〜2022年前半である。
**閉じた時期と理由**: 2022年後半、FRBの急激な利上げとTerra(LUNA/UST)の崩壊を引き金に暗号資産市場全体が急速に冷え込み、これに連動してNFT市場も失速した。国民生活センターの資料は「2022年後半から大きく失速し」と明記しており、日本経済新聞(2025年4月付)は「NFT市場、バブル崩壊で閉鎖相次ぐ 取引ピーク比8割減」と報じ、東洋経済オンライン(2025年)は日本発のマーケットプレイス『tofuNFT』が2025年5月末で運営を終了したと伝えている。BAYCのフロア価格はピークの152ETH(約430,000ドル、2022年4月)から2024年時点で8.9ETH(約31,000ドル)まで下落し、下落率は約93%(報道によっては88〜95%)に達した。Dorsey氏のツイートNFTは4800万ドルの希望額に対し最高入札額277ドルという壊滅的な結果に終わった(2022年4月)。dappGambl社の調査(2023年)ではコレクションの95%が無価値化したと報告されており、市場全体が構造的に縮小したまま2025年時点でも回復していない。したがって window_status は明確に「closed」と判定する。
## 現在のAI期での相似形
生成AI期における最も近い相似形は「AIで稼ぐ」を看板にした高額スクール・情報商材ビジネスである。実査で確認した限り、2024〜2025年にかけて受講料80万円超、中には200万円を超える「AI活用スクール」が急増しており、イケハヤ氏自身も自らのnote記事で「【注意喚起】受講料80万円!?『高額AIスクール』に注意!」と警鐘を鳴らしている。「今申し込めば特別価格」といったダークパターン的な勧誘手法や、行政処分を受けた事業者の事例も確認できた。
構造的な共通点は3つ。(1) 本体の波(生成AIの実用化)そのものではなく、「波に乗って稼ぐ方法を教える」という一段周辺のレイヤーが最も参入障壁が低く、最も早く飽和する、(2) 「稼いだ実績」を看板にした情報商材(しょーてぃ氏のNFT転売講座と同型)が、本体の技術理解より先に量産される、(3) 熱狂のピークで参入した個人ほど、その後の調整局面で損失を被りやすい非対称な構造がある。NFTの場合はこの非対称性が「95%が無価値化」という極端な形で数値化されて残っており、AIスクール市場についても同様の淘汰が数年内に起きる可能性を示唆する先行事例として位置づけられる。
一方で相違点もある。NFTはブロックチェーン上の資産という「価格が消滅の瞬間まで可視化され続ける」性質を持つため、95%が無価値化したことが事後的に定量化しやすかった。AIスクール等の情報商材は成果が可視化されにくく、市場が縮小しても「無価値化した」ことが統計として残りにくい。このため、AI期の周辺ビジネスの飽和・崩壊は、NFTほど明確な数値では検証できない可能性が高い(この点は推測であり、本稿の確度には含めない)。