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オンライン診療D2C(Hims & Hers型)

knowledge/cases/2022-online-telehealth-d2c-stigma-rx.md

frontmatter

このファイルの構造化フィールド

model name
オンライン診療D2C(Hims & Hers型)
origin country
米国
origin year
2019
origin players
Hims & Hers Ro (Roman)
japan entry year
2022
time lag years
3
japan players
クリニックフォア(医療法人社団エムズ・先行者) DMMオンラインクリニック(DMM.com・大手資本参入) レバクリ(レバレジーズ) eLife
domain
other
sub domain
telehealth D2C subscription(自由診療×初診オンライン×言いにくい領域のサブスク処方)
era
2020-2025
delay factors
規制 資本
outcome
established
entry barrier
capital-heavy
confidence
confirmed
verified
adversarial-20260718
sources
https://en.wikipedia.org/wiki/Hims_&_Hers_Health https://sacra.com/research/ro-telehealth-capital-cycle/ https://www.npr.org/sections/health-shots/2019/04/04/709838608/direct-to-consumer-medicine-quick-and-discreet-but-whats-lost https://undark.org/2019/03/28/digital-health-dilemma/ https://www.clinicfor.life/telemedicine/aga/ https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000024.000096150.html https://clinic.dmm.com/ https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA17EYP0X10C21A6000000/ https://note.com/mbaai/n/n5d6dcfbb702a https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000639.000010591.html

本文

## 概要(何のモデルか) ED(勃起不全)・AGA(男性型脱毛症)・避妊薬(ピル)など、対面では言い出しにくい「恥ずかしい」領域の診療を、オンライン問診→医師のオンライン診察→処方薬のポスト配送、という一気通貫のD2Cフローで完結させるモデル。保険診療ではなく自由診療(自費)を選び、対面診療の原則・保険の給付制限を回避しながら、Webマーケティング主導のサブスクリプション課金で収益化する。米国では Hims, Inc. が2017年11月に Andrew Dudum・Jack Abraham・Hilary Coles により Atomic Labs のベンチャースタジオから創業され、ED・AGA治療から出発した [出典: https://en.wikipedia.org/wiki/Hims_&_Hers_Health]。競合の Ro(Roman)も同じく2017年にED市場をターゲットに立ち上げられている [出典: https://sacra.com/research/ro-telehealth-capital-cycle/]。 ## 日本上陸の経緯(誰が・いつ・どう持ち込んだか) 日本では2020年4月、新型コロナウイルス対応として厚労省が「初診からのオンライン診療」を時限的・特例的に解禁したことが直接のきっかけとなった [出典: https://note.com/mbaai/n/n5d6dcfbb702a]。この特例を使い、対面クリニックとして2018年に開院していた「クリニックフォア」(運営: 医療法人社団エムズ)が2020年4月からAGA・ED等のオンライン診療を開始し、日本における最初期のHims&Hers型プレイヤーとなった [出典: https://www.clinicfor.life/telemedicine/aga/][出典: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000024.000096150.html]。続いて2021年12月、合同会社DMM.comと医療法人社団DMHが共同運営する「DMMオンラインクリニック」がAGA・ED・ピル・医療ダイエットなど15領域を扱うプラットフォームとして開設され、大手資本がこの領域の商業性を裏付けた [出典: https://clinic.dmm.com/]。 ただし本事例では「最初の1社の上陸年」と「市場が動いた転換点の年」を区別する。クリニックフォアの2020年参入はあくまでコロナ特例という時限措置の上に成立したものであり、法制度としては不安定だった。転換点となったのは2022年で、政府が2021年6月の規制改革実施計画で「初診からのオンライン診療の恒久化」を決定し [出典: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA17EYP0X10C21A6000000/]、2022年1月に厚労省が指針を改定、同年4月の診療報酬改定で初診オンラインが恒久制度として実施された [出典: https://note.com/mbaai/n/n5d6dcfbb702a]。この恒久化により「いつパンデミックが終われば消える特例か分からない」というリスクが消え、スタートアップ・大手ITが雪崩を打って参入する「オンライン自費診療バブル」が始まったとされる [出典: https://note.com/mbaai/n/n5d6dcfbb702a]。実際、レバレジーズの「レバクリ」(2023年6月開始)をはじめ多数のプレイヤーがこの後に参入している [出典: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000639.000010591.html]。以上より、japan_entry_year は「市場が構造的に動いた」2022年を採用し、本文で2020年(第一号)・2021年(大手資本参入)・2022年(恒久化・参入ラッシュの起点)の3段階を明記する。 ## なぜ遅れたか(delay_factors の根拠) - **規制**: 日本の医師法・医療法は対面診療を原則とし、オンライン診療は長らく「再診」かつ「特定の慢性疾患」等に限定運用されていた。2018年に「オンライン診療の適切な実施に関する指針」が定められたが、初診原則対面は崩れておらず、米国型のD2C自費モデルが機能する法的余地は薄かった [出典: https://note.com/mbaai/n/n5d6dcfbb702a]。コロナ禍による2020年4月の時限的特例、さらに2022年4月の恒久化という二段階の規制緩和を経て、ようやく米国と同型のビジネスモデルが合法的かつ持続的に成立する土台ができた。 - **資本**: 医師の確保・薬剤の在庫/配送体制・医療広告ガイドライン対応など、クリニック運営には医療法人設立や複数拠点の医師ネットワークが必要で、単純なアプリ模倣では再現できない参入障壁がある。DMM.comのような大手資本の参入(2021年)がこの領域の事業化を後押しした一因である [出典: https://clinic.dmm.com/]。 ## 結果とその理由(成功/失敗/変形の中身) 急成長し日本国内で市場として定着した(outcome: established)。2022年の恒久化以降、DMMオンラインクリニックでは男性AGA診療が前年比436%増と報じられるなど急拡大し、クリニックフォアも累計オンライン診療実績300万件超(2024年2月時点)に達している [出典: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000024.000096150.html]。市場調査では自由診療分野を含むオンライン診療市場は2023年に500億円超、2026年には自由診療だけで357億円規模と推計されている(シード・プランニング等の推計に基づく報道)。 ただし本家の Hims & Hers 自体(米国上場企業)が日本市場を主体的に牽引したわけではない点は明確にしておく必要がある。日本で実際に市場を作ったのは国内クローン企業(クリニックフォア、DMMオンラインクリニック、レバクリ、eLifeなど)であり、Hims & Hers ブランド自体の日本進出は確認できなかった。つまり「モデルの越境」であって「企業の越境」ではない事例である。 ## ローカライズで変わった点 - **保険外の自由診療という位置づけの強調**: 米国では保険外シェアが元々大きい医療市場構造の中でHims型モデルが伸びたのに対し、日本では国民皆保険が原則であるため、「あえて自由診療を選ぶ」形で保険診療の外側に独自の市場を作る必要があった。これが規制上の抜け道(初診オンライン特例)と結びついて日本独自の"バブル"的急成長を生んだ [出典: https://note.com/mbaai/n/n5d6dcfbb702a]。 - **プラットフォーマー(DMM等)の参入**: 米国では専業スタートアップ(Hims, Ro)が牽引したのに対し、日本では既存の大手インターネット企業(DMM.com)が医療法人と提携する形で参入し、広告・集客力を武器に急速にシェアを獲得した。 - **価格競争の激化**: 参入障壁の低さ(自由診療ゆえの自由な価格設定)から、月額1,000円台のフィナステリド処方など極端な低価格帯競争が発生しており、米国のサブスクモデルよりも価格圧縮が強い。 ## business-autopilot 的な学び - **観察**: 本事例の日本上陸は「企業の直接進出」ではなく「モデルの模倣+ローカル資本の実行」で起きた。Hims & Hers 自体は日本に来ておらず、国内医療法人・DMM.com・レバレジーズなど既存プレイヤーがモデルだけを輸入して勝者になった。→ 今後の候補選定でも「海外の元祖企業が来るか」ではなく「モデル構造だけ抜き出して国内の資本・免許を持つプレイヤーが模倣できるか」を軸に評価すべき。 - **観察**: タイムラグはわずか3年(2019→2022)と短い。理由は技術的障壁がほぼゼロで、唯一のボトルネックが「規制(初診オンラインの可否)」という単一の変数だったため。規制解除のタイミング(特例2020年→恒久化2022年)が市場拡大のスイッチとして機能した。→ 今後の候補選定では「タイムラグの長さ=規制のオン/オフが1変数で説明できるモデルほど、規制動向のニュースを先行指標として使える(逆に文化的障壁が主因のモデルはタイムラグが読みにくい)」。 - **観察**: 「言いにくい領域」×「オンライン完結」という組み合わせは、日本でも米国と同様に強い需要を持つことが確認された(ED/AGA/ピルはいずれも急拡大)。→ 恥ずかしさ・通院の心理的ハードルが高い領域(性・美容・メンタルヘルス・依存症等)は、規制さえ緩めば海外発オンライン診療D2Cモデルの移植候補として有望、という判断基準に使える。 - **観察**: プラットフォーム(クリニック)本体の新規参入は医師免許・医療法人設立・広告規制対応が必須でcapital-heavyだが、その周辺には個人〜中小が入れる隙間がある(例: 各クリニックのSEO/LP制作、医療広告ガイドラインに準拠したコンテンツ制作・比較サイト運営、CRM/問診票SaaSの外販)。実際、検索結果には「AGAオンライン診療 比較・おすすめ」系のアフィリエイトメディアが多数存在しており、この周辺市場はsmb-feasibleとして成立している。→ 医療系D2Cモデルを business-autopilot の題材にする場合、本体模倣ではなく「比較サイト」「集客支援」等の周辺業態を優先候補にする。